研究内容
平成31年度から3年間の厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)「健康への関心度による集団のグルーピングと特性把握ならびに健康無関心層への効果的な介入手法の確立」(平成 31 年度~令和 3 年度)に引き続き、「健康無関心層のセグメント化と効果的介入手法の検討:ライフステージに着目して」として、第2次ナッジ研究班として、調査研究を継続することになりました。以下の研究を予定しています。
研究1:健康無関心層の特性の把握・同定方法および健康無関心に関連する要因の分析
1)既存データの2次分析による健康無関心層の把握・同定
個別の領域ごとに、2次利用できる大規模調査から健康無関心層の特性を把握する。主に使用する調査は、国民生活基礎調査、国民健康・栄養調査、JASTIS、JAGESを予定している。特性として、各調査で把握可能な範囲で、職種、雇用形態、家族構成、加入の医療保険種類などとする。
2)健康無関心に関連する要因の分析
基本的な特性に加えて、先行研究で作成した「健康関心度尺度」およびその下位尺度を用いて、健康関心度の背景を検討する。
研究2.効果的な取組のためのセグメンテーション方法の検討
研究1で把握した健康無関心層の特性をもとに、基本属性等を用いて、健康無関心層を抽出するアルゴリズムを検討する。また、基本属性等を変数としたクラスター分析を用いた類型化を行う。なお、セグメンテーション・類型化においては、通常の調査で把握可能な、できるだけ少数の調査変数を用いる方法を検討する。また、確立したセグメンテーション手法や類型化により健康無関心層が抽出されているか、他の調査データを用いて妥当性の検証を行う。
研究3.各種の取組が健康無関心層および健康格差に与える影響および効果的な取組方法の検討
1)各種の取組が与える影響の検証
健康増進・疾病管理の取組に関して、研究1や研究2で明らかにした特性やセグメンテーションごとに効果を検証する。健康無関心層や健康格差への影響の程度を検討する。検証する取組は、本研究班の研究者が関わる実施済あるいは進行中のものとする(例:近藤らによる職域を対象とした「健診戦」など)。
2)効果的な取組方法の提案
1)の結果をもとに、健康無関心層および健康格差に与える影響および効果的な取組のあり方を検討する。また、取組を実施した場合の評価の方法についても検討する。取組方法の整理としては、先行研究で提案したヘルスプロモーションの類型化(格差拡大を伴うもの、格差の変化のないもの、格差縮小を伴うもの)に沿って行う。
総括と提言
健康無関心層をターゲットにする場合の同定や把握の仕方、効果的な介入方法について提言する。論文・学会発表、研修会等により、政策決定者、地域や職域の現場担当者への普及啓発を図る。
このHPでは、これらの研究で得られた成果や事例の一部を紹介しています。また、ナッジを通じた健康づくりについて関心のある方に向けて、基礎知識もまとめていますので、ぜひご参考ください。